映画感想:チャーリーとチョコレート工場

2005 アメリカ 原題:Charlie and the Chocolate Factory
監督:ティム・バートン

評価:★★★☆☆

世界的に有名なロアルド・ダールの同名児童文学の映画化。幼い頃、この本が大好きで繰り返し読んでいたので気になっていた映画。なんで劇場いかなかったんだっけ…

主人公の少年チャーリーの家庭は貧乏で、チョコレートは1年に1回、誕生日プレゼントでしか食べられない。しかし、チャーリーは世界一の変わりもので秘密主義者で天才お菓子クリエイターなウォンカの工場にほど近いところに住んでいて、誕生日以外はチョコレートの香りだけで我慢しているのだ。

そんなある日、ウォンカは5人の子供を、誰にも公開したことがない自分の工場に招待すると発表する。その方法は、ウォンカ製のチョコレートに招待券を紛れ込ませると言うもの。

招待券を手にする幸運をめぐってチョコレートが飛ぶように売れるなか、チャーリーの誕生日がやってくる。1年にたった1枚のチョコレートに、果たして幸運のチケットは入っているのか…?

というのが物語の始まり部分。この時点で子供心は大いに踊り、釘付けになったものです。映画でもチャーリーの貧乏っぷりが嫌みなく、ファンタジー映画らしく描かれていてとてもいい。

しかし映画の主演はジョニー・デップ演じるウォンカ。原作ではあくまでチャーリーが主役なので、困った脚本家は「なんかウォンカにもエピソードを足さなきゃ」と思って、歯科医の父親にお菓子を禁止されていた過去を作っちゃう。

その辺から、歪んだウォンカと父親の関係の修復にチャーリーが一役買うみたいな流れになって、原作から外れて来て、あれれ…?となってしまう。とはいえ、原作ではチャーリーが特別いい子かというと単におとなしいだけの子供のような気もするし、映画的にはキビシイと思ったのか…?

原作に思い入れが強すぎると納得できない映画かもしれない。面白かったけどね。同じくジョニー・デップを目立たせざるを得ないアリス・イン・ワンダーランドが心配だ…

とはいえ、ウォンカのエレベーターが映画で見られたから満足さ!

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映画感想:百万円と苦虫女

2008 日本
監督:タナダユキ

評価:★★★★☆

さわやかな映画。キャッチーなタイトルはよく内容を表しているし、ストーリーはテンポ良く進んでいくし、何と言っても終わり方が大好きだ。ラストシーンが逆のパターンだったら「この2時間を返せ!」と憤慨するところだが、いい方向に期待が裏切られ、主人公が大好きになった。2時間観てしみじみ良かったなぁと思う映画はなかなかない。音楽がよければ★5つなんだけどなぁ。DVD購入決定です。

まぁこれで感想を終わってもいいくらいだが、少し内容を補足。蒼井優演じる主人公の鈴子は、流されやすい性格でこれと言った特徴もない女の子。自分のことより他人のために怒るタイプなんだろうなぁ…。捨てられていた子ねこを助けたのに、同居人に子ねこを再び捨てられ、道路脇で冷たくなっていたのを見た腹いせに行なった復讐がもとで、前科持ちになってしまう。事情聴取中の「ヤっときゃよかった…」は名ゼリフw

そんなこんなで町にいづらくなった鈴子は、百万円を貯めて家を出ることを決意。百万円が貯まるたびに違う土地に移り、誰とも関わらずに生きていくつもりだった。とはいえ、行く先々で人とのふれあいがあり、ある地方都市で恋に落ちる…というストーリー。

その恋の結末はぜひ映画を見てほしいし、その結末でタナダユキ監督すげー!と感動したのだが、蒼井優の魅力もこの映画で初めて発見。冒頭、釈放された鈴子が空を見上げ「シャバ、かぁ…」とつぶやき(ここのカメラワークもいい!)、塀の側を「シャバダバシャバダバ〜…」と歌いながら歩くさまからして絵になる。

あと、お姉ちゃん役もハマってました。とてもほほえましくて。

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映画感想:シッコ

2007 アメリカ 原題:SiCKO
監督:マイケル・ムーア

評価:★★★★☆

マイケル・ムーア監督の映画は、単なるドキュメンタリーではなく、観終わったあとに「ああ、いい映画だったなぁ」と思わせるのがいいところ。本作でも、911で健康被害を負いながら充分な補償が受けられず、高額な治療費に苦しむ元隊員をムーアがキューバに連れて行き、現地の消防隊員とふれあう場面などは感動する。

しかし、アメリカの医療問題に対する切れ味はちょっと鈍いかも。映画を通して主張しているのは、アメリカ以外の国は医療費が安いし自由に治療できる、でも社会主義なんかじゃないよ、というだけだ。政治家と業界の癒着を分かりやすく暴いたのは見事だが、たぶんもっと根深い問題があると思うんだけど…

とはいえ、アメリカ人に取ってそれほどまでに社会主義とは恐ろしいものなんだな、と実感。そして、この映画に日本が一切出ていなかったことの意味も考えよう。言うまでもなく、映画に出て来た他の国に比べ、悪名高いアメリカの医療制度に近いからだ…。

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映画感想:ゾディアック

2007 アメリカ 原題:Zodiac
監督:デビッド・フィンチャー

評価:★★★☆☆

実在する連続殺人事件が題材。現在になっても真犯人は見つかっていないらしく、全米を震撼させた連続殺人事件にとりつかれ、人生を狂わされた男たちの物語。

デビッド・フィンチャー監督はていねいに、かつ緻密にドラマを作り上げているし、演技もカメラワークも音楽もすばらしい。けど、眠い。

実在の事件らしく、真犯人と言われる男も全然ぱっとしない感じで、リアリティは抜群。けど、眠い。

深夜に観ないで起きてる時間に観れば感想も違ったかもしれませんが、ちょっと、★3つで、スイマセン。

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映画感想:インビジブル

2000 アメリカ 原題:Hollow Man
監督:ポール・バーホーベン

評価:★★★☆☆

観てないと思って借りたら観てた。冒頭、生物を透明にすることに成功した天才科学者が悩んでいるのは透明状態から元に戻す方法。パソコンに何やら入力しながら、あーでもないこーでもないと煮詰まっているのだが、その画面に表示される元素を表現したあやしげなCGでトンデモ科学感を演出、期待を高めてくれるw

で、やはりというか何と言うか、科学的な話はあんまりなく、自信にあふれたマッドサイエンティストを軸にした人間ドラマが映画の中核。名声も女もほしいままにしたいタイプの主人公。自分の大発見はおめおめと政府に渡したりするものか!という秘密主義な男なので、上の人間からはよく思われていない。元恋人にも隙あらばアタックするがつれない様子。多分、名声と女、両方手中にするにはこれしかない!と思ったんでしょうね。すでに動物実験の成功した透明化の人体実験に踏み切るが、もちろんその対象は自分。世界初の透明人間になるために。

そしていよいよ実験開始。あやしげな液体が入った注射器を血管にぶちゅうと刺し、なみなみと液体を注ぐと透明になっていく。血管に刺したのに皮膚から透明になっていき、心臓とか最後まで透明にならないのには、つっこんだら負けですかそうですか。

で、無事透明になったはいいが、今度は戻す番。ところがトラブルで透明状態から戻れない。最初は浮かれていた主人公も一生透明のまま?となれば焦ってくる。焦りから自暴自棄になり、犯罪行為に走る…。

でもその犯罪のスケールが小さいんだ…。バレないと思って好き放題しているところをチクられたと分かると、今度は口封じに殺人に走る…。そりゃーねーよ、と思うが、人間って案外そういうもんかもしれないと思わせるリアリティはあります。

ラストのあたりはかなり壮絶な透明人間対人間の戦いで見ごたえがあり、面白かったと言える映画ですが、そこまで殺しあう必要あったっけ…?と思ったりで、数年経てばやっぱり観たこと忘れてそうだ。

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