Twitterの投稿(Tweet)から操作することにより、世界中の誰でもが同時に演奏に参加できる音楽を作曲していることは前回の記事で書いた。僕はこの作品を「RAIN TOWER IV」と名付け、開発中のベータ版テストとして2010年3月27日、午前1時〜3時にかけて事前予告無しにUSTREAM上に音楽を配信し、Twitter上で参加を募った。その結果、深夜であるにも関わらず10人以上のTwitterユーザーに積極的に演奏に参加してもらうことができ、USTREAM上での視聴も常に20人近くに上った。
その1時間50分に及ぶ公開演奏の最後の10分をUSTREAMで録画している。
画面にはSuperColliderのウィンドウが表示されている。後ろのウィンドウにはtweetを受信するたびに処理が行なわれたことを示す表示が現れる。前のウィンドウには、僕がTLを読んで反応したことを書き込んだりしている。
まぁ実際、あとから録音した音楽を聴いても全然、面白くない。しかし、再生しても面白くない音楽を面白く聴ける手段があるのだとすれば、これまで面白くないと切り捨てられていた荒野に無限の可能性が広がっていると言えないだろうか!わくわくしますね!
さて、参加方法はTwitterで専用のハッシュタグ「#rt4」をつけてコマンドをつぶやくだけ。コマンドの一覧は専用のページに解説を掲載した。また、このページのURLをツイートすることで参加呼びかけにもなる。
http://umbrellaprocess.com/rt4/
こういう作品専用ページを作ることは、参加者を増やす上で有効だと感じた。もちろん、使い慣れたクライアントを使って参加してもいいし、そのあたりの自由度の高さはTwitterならではだ。
では実際に参加された方はどういう感想を持ったのか。演奏中のツイートで、作品に対する要望をつぶやいている発言をトゥギャッターというサービスでまとめてみた。
Twitterによる 多人数参加型ミニマル・ミュージック #rt4 に寄せられた改善要望まとめ
- テンポを変えたい
- パンと音量を変えたい
- 色のある音色が欲しい
- ディケイやチューニングをいじりたい
- 1ツイートに複数のコマンドを含めたい
- @○○で開始するとTLが汚れるのを回避できるのでは?
- 引数に関数を入れたい
- 複数アカウントを作って役割を分けても面白いかも?
抜粋すると、このような貴重な意見をいただいた。この公開実験を行なうまでは正直、煮詰まっていたので、とてもありがたいことだ。参加していただいた全てのTwitterユーザーに感謝したい。Twitterのパワーを改めて実感した。
これらの意見と自分の感想をもとに、今後開発していくToDoを以下のようにまとめた。
TweetToOscの改善
TweetToOscとは、Twitterからの投稿をSuperColliderに送るアプリである。
- #と@を含む単語を除去する。
- ツイートの投稿者名を送信に含める
- 先頭のコマンドを抜き出して送信していたが、#と@の除去を行なったあと全てのツイートを送信する
SuperCollider側の改善
- 複数のコマンドを処理する(引数は2つまで指定できたが、1つに制限する)
- それぞれのコマンドで、誰のツイートが反映されたのかを見えるようにする
- waveの持続時間を延ばす
- speakはディレイをかける
- ドローンが聴こえにくいので音量を上げる
- ベース用の音色を足す
- wave以外に単発の音を足す
- テンポを変えられるようにする
- 少しスィングする
色々考えたが、引数は整数のみ許可する仕様にしたい。現在は小数も許可していたが、禁止する。これは参加の際の敷居をできるだけ下げるためだ。実際、音楽的な知識があれば、Ohm Studioやnoteflightのように、市販ソフトにせまる性能を持ちながらオンラインでのコラボレーションを可能にするサービスが次々とでてきている。音楽的に高度な操作を追求しても、これらのサービスにはまず勝てないので、音楽の知識皆無で参加できるものを目指したい。
同様の理由で、当面パンニングや音量の指定も見送っている。これは、前作rain tower 3で音量とパンを変更できるように用意していたのだが、素人には全く使われなかったからだ。
これらの改善タスクをできるだけ消化し、今月中にはバージョンアップした作品を数時間、Twitterで公開したいと思っている。
しかし、公開実験からToDoをまとめるのに2週間かかっているということは、この間、開発は進んでいないということで…。
会社員はつらいよ(>_<)
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