マンガ好き ヨルムンガンド

あらすじ
両親を戦争で失い、武器に関する一切を憎む主人公の元少年兵ヨナは、神の悪戯か、若き女性ウェポンディーラー、ココ・ヘクマティアルと、その部下である「ヒトクセもフタクセもあるが優秀な」私兵8人と世界各地を旅する事になる。(wikipediaより)

今のところダントツで好きなコミック「ヨルムンガンド」を紹介したいと思います。

エジプトに到着した武器商人、ココ・ヘクマティアルとその私兵たち。
今回の商売はエジプトのマフィアにイエメンの余り物の銃器を売る仕事。
だが、アネゴと呼ばれ私兵たちに慕われる、
女ナイフ使いでココの姉のような存在のバルメの様子がおかしい。

3巻から登場した商売敵「大星海公司」専務、陳国明
表向きは機械部品を扱う貿易会社だが、
その本性はアフリカでの影響力拡大を狙う中国人民解放軍の現役少将。

その陳がかつてアフリカで部下を全滅させた仇であることを突き止めたバルメは、
エジプトと国境を面したD国にいる陳への復讐を果たすため
ココの元を抜け単独行動を取る。

というのが5巻の最後の方のお話。
毎号主人公・ココが武器売買という危ない仕事を機転で乗り越え、
その過程で実にかっこいいセリフを残すのがたまらない本作だが、
6巻はその部下、バルメの復讐がメインの話。

元・フィンランド国連派遣軍少佐であり、
現在は武器商人の傭兵のバルメと、
過去バルメの率いるフィンランド軍中隊を全滅させ、
現在アフリカで手広く資源を採掘する陳の戦い。
この重苦しさはなかなか他の作品では味わえません。

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「聞こえる!天国の部下たちが、『感謝します少佐』と喜ぶ声が!」

一方、ココの私兵の主力ともいえる『バルメ』と、
バルメについて行ったもう一人の主人公ヨナがいないのをチャンスとばかり、
レストランを出すのが夢で「最悪だ…」が口癖という
いい味を出してるネガティブキャラの殺し屋、
ドミニク一派がココたちを襲います。
はたしてココたちは生き残れるのか?
こちらの戦いもド派手なカーチェイスに発展!
オススメです。

と、ここからはネタばれ注意。

見事、陳に復讐を果たすバルメですが、
その帰り、陳の死を知った陳に心酔する
中国人民解放軍中尉カレン・ロウに襲撃されてしまいます。
バルメを撃ったカレンの慟哭が、
この作品の面白さをすべて表しているかもしれない。

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「こんな世界、もうイヤだ!」

1巻ではピカレスク・エンタテイメントというコピーが付いていましたが、
悪党が息苦しい世の中の裏をかく爽快さとか、そういう面白さはない。
むしろ、武器商人のココこそが息苦しい世の中の代弁者というか、
この世界の矛盾のただ中に生きている。
いろいろ考えさせられるわけです。

かと思えばストーリーのノリは終始軽めで、
ドミニク一派のリリアーヌのやられっぷりは完全にコメディですし、
お調子もののココの部下・ルツが戦いのたびに
尻を負傷するのもお約束になってきました。

現代のリアルな世界情勢を反映した重厚な感じと、
コメディのスパイスが絶妙にマッチしたのが
ヨルムンガンドの魅力なのかもしれない。
とにかく、まだまだ目が離せません。

そういえば、大星海公司が事業を展開するアフリカ「D国」ですが、
どうやらモデルはスーダンのようですね。

「一方、石油資源やレアメタルの埋蔵量が大きく世界の注目を浴びており、1990年代後半から石油メジャーの間隙を突く形で、中国政府のバックアップを受けた中国系企業が多数進出。」(wikipediaより引用)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%B3

内戦ばかりの国情、資源輸出で得た外貨を使って武器を購入。
そこにつけ込む世界での影響力を拡大したい中国。
というシチュエーションでかつおもしろい漫画なんて、
ヨルムンガンドくらいじゃないかなほんとに。

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